新家未来インタビュー2021

本日より、約1年ぶりの個展を開催されている新家未来先生。

お話をお聞きしました!

 

今回の個展のサブタイトルは「ふれる輪郭」。

こちらには、どんな想いを込められていますか?

元々、女性像に実りや生命の移り変わりのようなものを託して描いてきました。

ですが、今回コロナ禍の個展という事もあって、人と人との出会いと別れ、距離の始まりと終わりみたいなものをイメージしてテーマにしました。

物理的にも精神的にも距離が遠くなった時の、輪郭の揺らぎのようなものを描きたいな

と思いました。

 

元々、引きこもり体質なので自分自身そんなに生活がガラッと変わったという事はないのですが()

高校の時の友人が一人、結婚して遠くに行ってしまって。

そんな事から色々と考えるようになりました。

その友人には嫁ぐ前にモデルをしてもらいました。

今回の出品作にもいくつかあって、その子の事を考えて描いていました。
新家未来P50ふれる輪郭

「ふれる輪郭」P50

“触れ合うことが難しくなってしまった今、揺らぐ輪郭。確かに此処にいる証しがほしい”

 

以前まで特定のモデルさんはいなく、イメージを重視して描いてらっしゃるとお話されていましたよね。

はい。

モデルはポーズをとってもらったりはしていましたが、自分の思う形に絵の中で変えて

いたので…。

最近は“モデルそのもの”を描きたいという気持ちが湧いてきています。

 

以前の個展でも少しお話していたのですが、元々の作品が自分の女性としての機能のしてなさの不安からも始まっているので、自分をうつしていると思うと、「美しく描くこと」に抵抗がありました。

だから手足や顔を赤く染めて、個としての生命力・強さを表現していました。

そこが抜けてきた感じですかね…?

元々技術的に拙かった部分もあるのですが、モヤモヤが抜けて作品と距離をとれるようになったのかもしれません。

 

技法的には変化はありましたか?

例えば以前は髪の毛の表現を墨だけとか、墨とちょっと岩絵具で描いていたのですが、最近は岩絵具で表現するようになりました。

黒で魅せたい!と思っていたんですけど、最近は岩絵具で遊びたいという意欲が出てきて。

 

それもあってか赤味とかも肌だけに使わなくてもいいかなって思って、その色味が背景にも飛んでいった感じですかね。

岩絵具の粒子が水で動くので、描いた後にポタポタと垂らしたり、画面を揺らして流したりして表現しています。

そういった画材の遊びが今は面白いです!
新家未来8P舞う風

「舞う風」P8

“舞い上がる風が新しい季節へ連れていく”

 

新家先生の作品は、タイトルが印象的でよくお客様からも意味を聞かれるのですが、こちらは完成する前からイメージが決まっているのでしょうか。

大体は完成した後になんとなく浮かんでくることが多いです。

今回の高校の時の友人をモデルにした作品は最初からありましたが、完成したらこんな感じになるんだと自分でもびっくりする事もあります。そこから変えたり。

作品を見てこういう事かなって感じたり、タイトルを見てさらに違う景色が見えるようにと思っているので、自由に思って、見て頂けたら嬉しいです。
新家未来6F還らぬ色
「還らぬ色」F6

“目の前の煌めく日々。還らぬ色を抱き寄せて”

 

今回はお花の作品もありますね。

以前から少しずつ描かれていますが、人物とお花で意識の違いはあったりしますか?
IMG_5325

人物はぐっと考え込むことが多いのですが、お花は、猫もそうなんですけど描いてる時楽しいですね。

思い入れがないというわけではないのですが、より距離を置いてリラックスして描けるというか。

お花屋さんで選んだり、買ってきて生けて見たりするのも楽しいです。
新家未来8P満つ色

「満つ色」P8

“満ち、溶けていく。美しい時は一瞬なのだろうか”

 

今後新たに挑戦したいことはありますか?

引き続き、日本画材で遊ぶ感じは続けていきたいなと思います。

あとは色味も更に解放していきたいです!

 

最後に個展を見て下さる皆さまに一言お願いします。

触れ合うことが難しくなってしまった今、揺らぐ輪郭。

これまで“実り”や“生み”の象徴として描いてきた女性像を通して、存在やそれを思う心情をテーマに描きました。

自分自身の存在や身近な人の存在を思ったり、作品の物語を想像したりと楽しんでもらえたら幸いです。

 

新家先生、ありがとうございました!

個展は本日42()11()まで開催しております。

本日と明日は新家先生もご来場予定です!

この機会に是非ご高覧くださいませ。

 

以前のインタビューはこちらから

 

2016年インタビュー

新家未来作家インタビュー : Gallery Seek Official Blog(livedoor.jp)

2019年インタビュー

新家未来インタビュー2019 : Gallery Seek Official Blog(livedoor.jp)

 

 

「新家未来 日本画展ふれる輪郭
4
2()411(
)
会場:Gallery Seek
出品作家:新家未来
作家来場日:42()3日(土) 各日13001700

今日まで女性像は、実り、美、信仰、慈愛、真実、虚栄、消費…など、あらゆる象徴として数多く描かれてきました。その中でも〝実りや生み〟の象徴として女性像を描いている新家未来。淡い色彩で描かれる女性たちは、ふんわりとした雰囲気を持ちつつも、どこか芯の強さを感じさせます。そこには様々な象徴として描かれてきた、作家自身が見つめる、女性に対する尊敬や憧れ、自己投影願望の意味を込めています。今回の個展のサブタイトルは「ふれる輪郭」。人と人が物理的に触れ合うことが難しくなってしまった今、私たちは何に「存在」を感じるのでしょうか。揺らぐ輪郭の中で、確かに此処にいる証しを求めて描かれた作品達。新作10余点を是非ご高覧くださいませ。