清水知道インタビュー2021

現在、銀座SIXアールグロリューにて個展を開催されている清水知道先生。

今回の制作や作品についてお話をお聞きしました!
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2年ぶりの個展となりますが、作品・心境の変化はありましたか?

やはりここ1年の出来事が印象に残っています。

この様な状況になったため、より一層、鮮やかさや明るい作品を心掛ける様になりました。

現在の世の中で自分自身…作家に出来る事は、写真とは違う絵画の持つ質感・色彩感を通して見る人に美しさ・安らぎを届ける事だと考えています。

サブタイトルもこの気持ちを意識し、「色彩と平穏の日本風景」にしました。

 

清水先生は、岩手山や赤城山など日本の山や自然に実際に足を運び、制作に活かされていますよね。

はい。

アウトドア好きなので、可能な限り現地に足を運び、林道や獣道を歩き新たな構図を探しています。

そこで制作に役立つ資料をスケッチ、撮影しアトリエで熟考します。

季節や時間によって自然界の景色は様変わりするので、絶えず参考になる事ばかりです。

 

日本画のジャンルで制作活動をさせて頂いておりますが、洋間に合う色彩や構図を意識し制作をしています。

日本画材を駆使し、独特なマチエールを表現する事で立体感や重厚感を出しています。
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「浅間山盛秋」10P

アトリエ近くの山道を歩くと良く目にする事が出来る浅間山。

軽井沢の象徴でもあり清らかさをいつも感じています。今年は浅間山周辺の取材が多く、制作しました。

清水アップ

作品アップ(マチエール)

 

何故独特なマチエールにこだわるように?

日本画の中に、質感の面白さを取り入れてみたかったからです。

砂絵や油絵を見た時に感じた面白さは、物質的な立体感も影響しているのでは?と考えています。

 

また、日本画は日本の伝統文化の一つであると共に、色彩に1700色もの種類があることも魅力的だと思っています。

粒子の目の細かさはその番数で分別されています。

一般的には、5番~13番、白(びゃく)とあり、数字が大きくなるほど粒子が細かくなります。

同じ組成を有する岩絵具でも、粒子の粗いものほど暗色で鮮やかに、逆に細かいものほど表面の乱反射が多く、白っぽく明るい色にります。

私の場合、粒子の粗いものと細かいものを混ぜあわせる事によってこのようなマチエールを作りだしています。

一見、日本画に見えないとの声を耳にする事がありますが、そこに面白さを感じて頂ければ幸いです。

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洋間に合う作品を意識するようになったのはどうしてでしょうか。

世の中は日々、和洋折衷が進んでおります。

それに伴い、インテリア的にも洋間が増え、人々の意識も無意識に西洋化していると私は考えております。

古典的な和の美しさを時代に合った芸術作品にする事で、日本画というジャンルに親しみを持って欲しいという意味を込めています。

 

今回の出品作の中で一番見てほしい作品を教えてください。

「明け行く富士」になります。

来光と富士という縁起の良さを求め、取材をした事が始まりです。

劇的な赤富士とは違う優しさを表現したく、朝焼けの淡い色合いを描きました。

精進湖側から見た構図になるのですが、この方面は山筋が多く、力強さも感じる事ができます。

この点が私自身も好きなポイントとなっています。


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「明け行く富士」10P

 

今後新たに挑戦したいことはありますか?

落ち着いたら海外へ取材に行き、新構図を作り出していきたいと考えております。

 

アールグロリューへ見に来て下さる皆さまに一言お願いします。

昨今の状況の中、ご来場頂きありがとうございます。

私の作品で少しでも見て頂いた方の心を明るく、幸福感に包めれば幸いです。

 

清水先生、ありがとうございました!

個展は24()210()まで開催しております。

この機会に是非ご高覧くださいませ。

 

以前のインタビューはこちら

清水知道インタビュー2019 : Gallery Seek Official Blog(livedoor.jp)

 

「清水知道 日本画展 色彩と平穏の日本風景
24()210()
会場:Artglorieux
出品作家:清水知道
作家来場日:24() 13001700

生まれ育った祖国である日本の風土を描く日本画家・清水知道。師は父でもある清水規。幼少期より日本画の画材に親しみ、父の制作の現場を身近で見てきました。大学で本格的に絵を学びつつ、約8年を父の助手として修業し磨かれた感性は若手ながらも、どこか大家の風格があります。富士山や浅間山、岩手山などを始めとして実際に野を行き山に登るというスタイルから描かれる作品はクオリティの高さもさることながら、親しみやすさも感じます。今回の個展では、「色彩と平穏の日本風景」をサブタイトルとし、今の世の中だからこそ自分にできる事は何かと考えた作家の想いが込められています。写真とは違う絵画の持つ質感や色彩感を通して、美しさ・安らぎを見る人に届けます。自ら訪れた土地を“旅行記”として描いた作品の数々を是非ご高覧くださいませ。